資源循環×環境情報化・データ基盤

2026-08-07

資源循環×環境情報化・データ基盤 図版1

EUのデジタル・プロダクト・パスポートは、製品の詳細情報を一か所に集める仕組みではありませんでした。

欧州委員会が7月20日、デジタル・プロダクト・パスポート(DPP)のレジストリと、そのテスト環境を公開しました。運用の方法を定める委員会実施規則(EU)2026/1778は、7月16日に採択されています。

公式の説明では、レジストリの役割は「索引」です。中央に登録されるのは、製品の一意識別子、登録情報、概要レベルのメタデータで、詳細な製品情報そのものではありません。製品データのほうは、事業者自身、あるいはDPPサービス提供者が分散して持ちます。

ただ、中央が空っぽというわけでもありませんでした。

レジストリには、データモデルや構造、意味の定義をそろえるための技術要素も置かれます。製品群をまたいで、同じ言葉が同じ意味で読めるようにするための部分です。利用者の確認やアクセス管理、登録内容の検証、操作履歴の記録も中央側にあります。委任法令などによっては、追加の情報を登録することが求められる場合もあるとされています。

つまり、EUが中央に集めたのは、すべての製品データではなく、どの製品の情報がどこにあり、誰が登録し、どの形式で読めるのかを確かめるための共通基盤でした。

保管は分散させる。識別と検証と意味は共通化する。

データを集約したというより、参照と信頼の仕組みを集約した、と読めます。

日本でも、経済産業省のウラノス・エコシステムのもとで、業界や国境をまたぐデータ連携が進んでいます。こちらも蓄電池のトレーサビリティが最初の入口で、欧州のCatena-Xとの相互運用が意識されてきました。EUのDPPで最初の実装期限が来るのも、2027年2月の電池です。同じ制度ではありませんが、問われている設計はかなり近いところにある気がします。

何を中央に置き、何を各社に残し、誰がどこまで参照できるようにするのか。

環境情報化というのは、情報を一か所に集めることではなく、必要な人が必要な範囲で信頼して使える経路を設計することなのだろうと思います。

🔗 欧州委員会「The Digital Product Passport Registry is now live」(2026年7月20日・テスト環境も同時公開):
https://single-market-economy.ec.europa.eu/news/digital-product-passport-registry-now-live-2026-07-20_en

🔗 欧州委員会「The DPP Registry」(レジストリが持つもの・分散管理の考え方):
https://single-market-economy.ec.europa.eu/single-market/digital-product-passport/dpp-registry_en